24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55

24年春夏 新作
知られざるセーターの魅力編
【服の向こう側】vol.55 -前編-

24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55

検索エンジンでは出てこない物作りの裏側や服が転倒になるまでのバックストーリーを中心に届ける服の向こう側、今回こちらに並んでいるリングヂャケットナポリのセーターをお届けしたいと思います。

RING JACKET Napoliとは

24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55

リングヂャケットナポリとは、この動画何度もご覧いただいてる方はご存知かと思うんですけど、初めてご覧いただく方もいらっしゃるかと思いますので、改めて簡単に説明させていただきます。
リングヂャケットナポリとはナポリを初めとしたイタリアの職人たちとリングヂャケットが競業して作り上げるレーベルで本当にイタリアの最高峰、一流メーカー本当に知られざる職人、そういった方々と組んでリングヂャケットならではの価値観だったりとかスタイルをイタリアの職人たちと色々意見を交わしながら作り上げていくレーベルになります。

本当にリングヂャケットらしさが詰まっていたり、イタリアならではの良さ、そこがミックスして出来上がってるものなので唯一無にとまで言うとちょっと言い過ぎかもわからないですけど本当にいろんな商品、いろんなアイテムを着て来られたお客様ほど、「これ面白いね」と言っていただける商品が多いかと思いますので、是非こちらも最後までご覧いただけると幸いです。

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素材における日本とイタリアの違い

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リングジャケットナポリのセーター、春夏シーズンで毎シーズンご好評いただいてるシリーズなんですけど、こちら。
春夏になるとどうしても半袖になってくる時期がもうそろそろ来てるかと思うんですけど、どうしてもこうカットソー1枚だとちょっとペタッとしてしまうというかあのカジュアルになりすぎてしまうのがニット半袖、ニットTとかね最近言い方もするかと思うんですけど、セータータイプの方がより上品で大人っぽく、こういうテーラードジャケットのインナーとしてもお召しいただきやすいということでいいかなと思います。

リングヂャケットナポリのこのセーター、何がいいかって言うと素材がとても良いんですよね。
所謂、コットンのサラリとした強撚糸、コットンの糸を撚糸、撚りをかけてサラッとしたタッチに仕上げていってるんですけど、このサラッとしたタッチ、ここが実はポイントなります。強撚糸のコットンってなくはないんですけど結構、撚糸を強くし過ぎてジャリジャリになってるものが意外と多いんです。
確かに通気性が良くてサラッとはするんですけど、着用感、肌に触れた時にちょっと痛いとまで言うと言い過ぎですけど、ちょっとジャリジャリしてしまうものが多いかなと思うんですけどリングヂャケットナポリのこちらのセーターはサラッとしながら肌当たりがすごく滑らかなんですけど、サラッとしてる、ちょっと相反するようなそういったものがミックスしてるのが特徴の1つになります。

24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55
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なぜこういう形になるかと言うと理由がいくつかがあるんですけど、実はというかちょっと話が逸れるかも分からないですけど、イタリアだと意外とこの強撚糸のコットンセーターってそんなにないんです。
あのありそうでないと言う、全くないって事はないんですけど、というのもイタリアとかだと結構夏場、昼間はすごく暑いんですけど夜になると寒暖差が強いんで夜になると長袖のハイゲージのセーターとかカシミヤとかウールのセーターを羽織ったりっていうシーンが割とあります。
ですので結構春夏になると日本だとどうしてもカシミヤ等のヌメり感のあるセーター、温かみのあるセーターっていうのはなくなってしまうってイメージがあるんですけど、意外とイタリアとかだと春夏でもウールのハイゲージのセーターやカシミヤのセーター、そういったものがえ展開されてるお店も多くあります。

っていうのは、やっぱり先ほど申し上げたサラッとした気候で寒暖差がえ大きくて夜になると結構冷えたりするので長袖のセーターだったりとか半袖でもセーターが重宝されるっていうのがあります。
春夏でもカシミヤだったりウールのセーター、そういったものが割と昼夜の寒暖差が激しいイタリアの方だと、販売されてる所をよく見かけるっていうのに対して、日本はどうかというと、実際日本は梅雨もあって湿気が高くて不快指数が高いというか、ベタッと肌にまとわりつくような感じになってしまうんですね。
そうなるとやっぱりヌメり感のあるタッチ、カシミヤタッチのセーターっていうのが少し不快感が強くなってしまうのでより、肌離れのいい、こういう撚糸のセーター、そういったものが人気というか気候に即した物かなという形で人気があります。

24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55
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私も実はメイドインジャパンのセーターも企画してたんで、いろんなセーターを作る時に日本の紡績メーカー、糸屋さんだったりとか糸商を色々と見てセーターを作ってたんですけど、やっぱり比べると、湿気の強い日本だから、適した糸、それはそれでいいんですけど撚糸を強くして仕上げていってるんでやっぱり先ほど冒頭にお話しさせていただいた通り、タッチがこうサラッしてていうよりはちょっとジャリジャリ、ちょっと硬い感じに仕上がるんですね。
通気性も良くてサラッとしていいんですけど、ただあまりにも撚糸が強すぎると肌当たりが直接肌に来た時に、ちょっと硬く感じるかなと思います。

リングヂャケットナポリのこちら、それとは違った良さがあるっていう風に冒頭でお伝えさせていただいた通り、強撚糸コットンを使ってて、撚糸をかけてやっているんですけど、極端に撚糸を強くしてない部分があって、サラリとはしてるんですけど肌当たりがすごい気持ち良いんですよね。
というのもイタリアのそういうカシミヤなどの上質な素材、そういったものをこうベースにしている中で、コットン、撚糸になっているので気候に即した強撚糸という物を開発していった物に対して、カシミヤだったりとシルク、そして上質な素材をベースにしながらの強撚糸っていう立ち位置なので、撚糸の回数だったりとか、やり方が少し違うんです。
あと、日本の糸も悪いって訳じゃないんですけど、やっぱり撚糸していくとシャリッとする爽やかな肌当たりを求めると、何度もお話しさせていただいてるんですけど、そうなると糸が硬くなるんです。

24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55
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撚糸っていうのをイメージが分かりやすくお伝えすると、例えば雑巾、最初の状態からぎゅっと絞っていくとだんだん硬くなってくると思うんですけどイメージ的にはそういったイメージになります。
撚糸すると硬くなる=そこまで良い原料を使わなくていいんじゃないかと言う事で、一般的に多い強撚糸っていうのはレギュラーコットンというか、あまりハイクオリティなっていうより、一般的に流通している綿を使ってそれを撚糸していくっていう方法が一般的なのに対して、リングヂャケットナポリで使ってるこちらのコットン、先ほどイタリアならではの感性が生み出した強撚糸コットンとお伝えさせていただいたんですけどコットンの方も上質なコットンを使ってるので撚糸をかけてるんですけどサラッとして先ほど申し上げた雑巾を絞るような形で糸は硬くなるんですけど、ベースのコットンもすごい上質なコットンを使ってるので、サラッとしながらジャリジャリした肌当たりにならない。
素肌に着ても痛くないというかザラザラしない感じで、でもこう肌離れ良くて湿気の多い日本でも不快感なくお召しいただけるっていうのが特徴になります。

この糸っていうのが、先ほど申し上げた通りヨーロッパの方ではちょっと珍しくて、日本だともうちょっとジャリジャリしたものが多かったり、コットンのクオリティ自体もレギュラーの通常のコットンを使ってやっていくので意外とこれがありそうでないんですよね。
なんで、こんな面白い糸を見つけてセーターにしているかをお伝えすると、この工場のオーナーがすごくセンスがいいんですね。

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セーターおじさんについて

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センスがいいとお話しさせていただいたんですけど、このセーター工房のオーナーが話しててすごく面白いんですよね。やっぱりこうセンスがいい。
こう色々タイプが分かれるんですね、ザ職人っていうファッション性っていうよりは物作りを掘り下げていくタイプと、デザイナー寄りというか物作りをもちろんするんですけど、感性というかそういったものを取り入れながら物作りをするタイプと、かなり極端に分かれるケースが多いんですけど、ここのセーター工房のオーナーはもちろんセーターのプロフェッショナルで職人肌なとこもあるんですけど、その感度というか感性がすごく高くて、いつも打ち合わせしてると、こちらの要望、こういったものが欲しいんだって話をすると、「これはこういうことだね」とか「じゃぁこれはこういう意図だね、じゃぁ今度探してくるよ」って形ですごくスムーズに話が出来る方だと思います。

もちろん、色々打ち合わせしてる中で「これはこうした方がいいんじゃないか?」と教えていただいたりとかもセーターのプロフェッショナルなオーナーに色々教えてもらいながらやってます。
そのセーターのプロフェッショナルなオーナーと、テクニカルな部分は工場長の女性がいるんですけど、その工場長の女性がニット作りを何年もやり続けたニット業界のある意味マエストロみたいな女性ででその女性とそのオーナーと一緒にセーターを作り上げていってるんですけど、、、
やっぱりね、ただただ出来上がったサンプルというかメーカー、ファクトリーとかに行くと大体は過去のサンプルなんかを見て、「じゃあこれで」とか「じゃあこれでこの糸を使ってお願い」って形で作る事もちろん簡単で早くて良いんですけど、そういったやり方ではなくて、本当に色々話し込んでやっていってるんで、本当にイタリアのよくあるセーターとも一味も二味も違う形で、リングジャケットナポリらしい、日本のテーラードのスーツジャケットを中心とするブランドが考えるこう世界観だったり、それに合わせるアイテムっていうのをイタリアの職人と話しながら作り上げていってるっていうのが本当に具現化されてるかなと思います。

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1月にイタリアへ行った際も、実はこのオーナーのお家にもご招待されて行ってきたんですけど、豪華でセンス溢れる家でした。
なんていう豪邸に住んでるんだと、びっくりするようなお家で、そこで夕食を一緒に取りながら仕事の話とか含めてしてたんですけど、やっぱりこういう環境というか色んなアートとかその古い昔ながらの家をリノベーションした所に住んで感性を磨いている人だからこそできるプロダクトっていうのがあるのかなと思います。

オーナー自体も実はセーターのプロフェッショナルではあるんですけど、実はずっとセーターだけをやってきたわけではなくて、元々ミラノの方のエージェントいろんなアイテムのセールスの仕事も実は昔やってたんですね、その時に重衣料、イタリアの方でも本当にトップレンジのスーツやジャケットとあとセーター、シャツそれもイタリアのクラシックなアイテムを好きな方だと誰もが知るようなブランド、そういったもののセールスをしてました。
あのイタリアってちょっとこう日本と変わってるんであのメーカー、ファクトリーは作るものを専業にしてセールス、販売するのはそれに長けた人と契約してやるっていうシステムがあるんですけど、その辺を日本は大体一緒にやっちゃうんですけど、売るプロフェッショナルと作るプロフェッショナルと分かれて、そこが契約してやるっていう形が多くて実はこのセーター工房のオーナーはこの工場を立ち上げる前は重衣料、いわゆるスーツやジャケットもセールスしていたので色々な感性というか本当に良い物、ハンドメイドだったりとかイタリアならではの昔ながらの本当に上質なものを知ってるんですよね。

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「では、なぜこの工場をやり出したの?」って話をしてるといろんなセールスをやっている中で、今のセーターのブランド自体が前オーナーが亡くなったか何かで、もう廃業するっていう形になったらしいんです、その話を聞いた現オーナーはここまでハイクオリティなセーターを作っている工房なんて他にないのに、この工房がなくなるのはもったいない、という事で当時のエージェントの仕事を辞めて一念発起してセーターの工房を引き継いでやるって形でやり出したそうです。

ですので、もちろんこの工房のセーターもずっとエージェントとしても取り扱いしていたのでセーターのプロフェッショナルとしてでもあるんですけど、色んなスーツ、ジャケット、パンツ、シャツなどのイタリアの最高峰の物をセールスマンだったからこそ出来る審美眼というか、いろんな綺麗な物、最高級の物を見てきたからこそ出てくるこの糸、リングヂャケットのリクエストしたものに対して本当に的確に答えてくれるっていうのがすごくいいかなと思います。
単純に物が良いってだけだったりとか正直、どんなモノ作りに対してもそうなんですけど、その中でもやっぱり作る人がどういった人が作っいて、どういった引き出しの多さがあって、どういった振り幅があって、どういう審美眼、美的センス、そういったものを含めてあるかっていうのが非常に物作りにおいては重要なのかなと思います。

24年春夏 新作 知られざるセーターの魅力編【服の向こう側】vol.55
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ただ糸が良いとか、ただここの縫製や仕様がっていうのもちろん大事なんですけど、やっぱり作る上で、その携わる人、それによって大きく物作りっていうのは変わってくるのかなと思います。
本当にこのセーターができるのは、この工房だからこそできる事かなと思っております。